二等無人航空機操縦士の資格取得を目指す方への記事です。
そもそも無人航空機操縦士って何?という方は、第一回の記事をご覧ください。
3章 無人航空機に関する規則 〜読込編(1)〜
今回は3章の無人航空機に関する規則について学んでいきます。
法律や、罰則、ドローン操縦における義務などを確認していきます。
3章は法令についてなど、扱う内容が細かいので今回の「航空法に関する一般知識」と次回の「航空法以外の法令等」に分けて解説していきます。
航空法に関する一般知識
航空法における無人航空機の定義
教則には、以下のように定義されています。
航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、
遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものであり、重量が 100 グラム以上のもの
細かく分けると、以下のような条件を満たすものになります。
・飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船
・構造上人が乗ることができないもの
・遠隔操作又は自動操縦での飛行ができるもの
・重量が100グラム以上のもの
なお、より細かな説明として以下のような説明も記憶しておく必要がある。
飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船のいずれにも該当しない気球やロケットなどは航空機や無人航空機には該当しない。
要約:気球・ロケットは航空機・無人航空機じゃない。
「構造上人が乗ることができないもの」とは、単に人が乗ることができる座席の有無を意味するものではなく、当該機器の概括的な大きさや潜在的な能力を含めた構造、性能等により判断される。
一方で、「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船を対象としているため、人が乗り組まないで操縦できる機器であっても、航空機を改造したものなど、航空機に近い構造、性能等を有している場合には、無人航空機ではなく、航空機に分類される。
このように操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機を「無操縦者航空機」という。
要約:無理やりでも人が乗れるものは無人航空機じゃない。(※無操縦者航空機になる)
「遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」としているため、例えば、紙飛行機など遠隔操作又は自動操縦により制御できないものは、無人航空機には該当しない。
要約:遠隔操作・自動操縦できないものは無人航空機じゃない。
「重量」とは、無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まない。
なお、100グラム未満のものは、無人航空機ではなく、「模型航空機」に分類される。
要約:無人航空機かの判断する重量に「付属品」は含まない。
重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成 28 年法律第9号。以下「小型無人機等飛行禁止法」という。)において規制対象となる「小型無人機」については大きさや重さにかかわらず対象となり、100グラム未満のものも含まれる。
要約:100グラム以下の模型航空機でも、重要施設周辺では飛行禁止
(より細かい条件があるので、ここではしっかり覚えなくても大丈夫です。※次回やります)
試験としては、ここから無人航空機として当てはまらないものを選ばせるケースが想定されます。
【無人航空機に当てはまらない例】
・航空の用に供することのできる気球
・無人ロケット
・構造上人が乗ることができる回転翼航空機
・紙飛行機
・総重量が250グラムの回転翼航空機(※カテゴリ1飛行の条件と勘違いしないこと!)
・本体,プロペラ,プロペラガード,バッテリーの総重量が100グラムの回転翼航空機(※プロペラガード等付属品は含まない)
無人航空機の飛行に関する規制概要
規制対象となる飛行の空域及び方法(特定飛行)
規則のポイントとしては以下の4点
・無人航空機は、国の登録を受けなければ航空の用に供することはできない。
・登録の有効期間は3年
・無人航空機を識別するための登録記号を表示しなければならない。
・リモートID機能を備えなければならない。
規制対象となる飛行の空域及び方法(特定飛行)
特定飛行とは、「航空機の航行の安全」、「地上又は水上の人又は物件の安全」に気概を及ぼす恐れがあるとして規制されている空域、また飛行方法のことである。
規制されている空域・飛行方法のいずれかに該当する飛行が「特定飛行」となる。
【特定飛行の規制対象となる飛行の空域は以下の4点】
・空港等の周辺の上空の空域
・消防、救助、警察業務その他の緊急用務を行うための航空機の飛行の安全を確保する必要がある空域
・地表又は水面から150メートル以上の高さの空域
・国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空(DID地区)
【特定飛行の規制対象となる飛行の方法は以下の6点】
・ 夜間飛行(日没後から日出まで)
・ 操縦者の目視外での飛行(目視外飛行)
・ 第三者又は第三者の物件との間の距離が 30 メートル未満での飛行
・ 祭礼、縁日、展示会など多数の者の集合する催しが行われている場所の上空での飛行
・ 爆発物など危険物の輸送
・ 無人航空機からの物件の投下
無人航空機の飛行形態の分類(カテゴリーⅠ~Ⅲ)
カテゴリⅠ〜Ⅲは特定飛行に該当するか、と立入管理措置の有無によって分けられていきます。
また、カテゴリⅡに関しては、該当する特定飛行の規制内容や機体重量によってカテゴリⅡA、ⅡBに分けられており、より危険度の高いカテゴリⅡAにおいては、操縦士資格、機体認証を持って運行管理を行っていても飛行の都度申請が必要になります。
Lv | カテゴリ | 立入管理措置の有無 | 許可される特定飛行の規制 | 許可される機体重量 | 必要な資格 | 機体登録 | 申請 |
4 | カテゴリⅢ | 無し | 【空域】 空港等周辺 150m以上 人口集中地区 【飛行方法】 夜間飛行(限定) 目視外飛行(限定) ヒト・モノ30m 催し物上空 危険物輸送 物件投下 | 25kg未満 25kg以上(限定) | 一等操縦士 一種認証機体 適切な運行管理 | 要 | 要 |
3 | カテゴリⅡA | 有り | 【空域】 空港等周辺 150m以上 人口集中地区 【飛行方法】 夜間飛行(限定) 目視外飛行(限定) ヒト・モノ30m 催し物上空 危険物輸送 物件投下 | 25kg未満 25kg以上(限定) | 二等操縦士 二種認証機体 適切な運行管理 | 要 | 要 |
2 | カテゴリⅡB | 有り | 【空域】 人口集中地区 【飛行方法】 夜間飛行(限定) 目視外飛行(限定) ヒト・モノ30m | 25kg未満 | 二等操縦士 二種認証機体 適切な運行管理 | 要 | 否 |
1 | カテゴリⅠ | ー | なし | ー | なし | 要 | 否 |
※「緊急用務空域」の飛行はいずれのレベル、カテゴリでも原則禁止となります。
※(限定)とついているものは、限定解除を行うことによって許可される規制となります。
機体認証及び無人航空機操縦者技能証明
特定飛行を行う場合、航空機の航行、地上および水上の人・物件への危害を及ぼすおそれがあることから、「機体認証」および「技能証明」に関する制度が設けられている。
各認証および証明の有効期間は以下の通りである。
技能証明 | 機体認証 | |
レベル4、カテゴリⅢ飛行に必要な資格 | 一等無人航空機操縦士:有効期間3年 | 一種機体認証:有効期間1年 |
レベル2,3、カテゴリⅡ飛行に必要な資格 | 二等無人航空機操縦士:有効期間3年 | 二種期待認証:有効期間3年 |
特定飛行を行う場合の航空法上の手続き等
無人航空機の飛行に関する規制概要のこれまでの内容を踏まえて、各カテゴリで必要な手続きは以下のようになる。
【カテゴリⅠ】
・機体登録(3年更新)
【カテゴリⅡB】
・機体登録(3年更新)の確認
・機体認証(二種:3年更新)の確認
・技能証明(二等:3年更新)の確認及び、飛行時の携帯
・適切な運行管理(安全確保マニュアルの作成・厳守)
・立入管理措置
・飛行日誌(飛行記録、日常点検記録、点検整備記録)の記録及び、飛行時の携帯
【カテゴリⅡA】
・機体登録(3年更新)の確認
・機体認証(二種:3年更新)の確認
・技能証明(二等:3年更新)の確認及び、飛行時の携帯
・適切な運行管理(安全確保マニュアルの作成・厳守)
・立入管理措置
・飛行日誌(飛行記録、日常点検記録、点検整備記録)の記録及び、飛行時の携帯
・飛行計画の通報を行い許可・承認を受ける。
【カテゴリⅢ】
・機体登録(3年更新)の確認
・緊急用務空域に該当しない事の確認(※限定項目飛行の場合、限定解除の確認も含む)
・技能証明(一等:3年更新)の確認及び、飛行時の携帯
・機体認証(一種:1年更新)の確認
・飛行日誌(飛行記録、日常点検記録、点検整備記録)の記録及び、飛行時の携帯
・飛行計画の通報を行い、許可・承認を受ける。
※なお、カテゴリⅡA、カテゴリⅡB飛行は、機体認証及び技能証明の両方又はいずれかを有していない場合であっても、あらかじめ「使用する機体」「操縦する者の技能」「運行管理の方法」について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受ける事によっても可能となる。
航空機の運航ルール等
無人航空機の操縦者が航空機の運航ルールを理解する必要性
無人航空機は、航空機と同様、空中を飛行する機器であることから、万一の場合には、航空機の航行の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある。
この観点から、航空機と無人航空機間で飛行の進路が交差し、又は接近する場合には、航空機の航
行の安全を確保するためにも、無人航空機側が回避することが妥当であり、航空機は、無人航空機に対
して進路権を有するとされている。
①航空機の航行安全は、人の生命や身体に直接かかわるものとして最大限優先する。
②航空機の速度や無人航空機の大きさから、航空機側から無人航空機の機体を視
認し回避することが困難である。
③無人航空機は航空機と比較して一般的には機動性が高いと考
えられる。
また、無人航空機の操縦者は、以下の行動が求められている。
①国が提供している「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」
などを通じて飛行情報を共有する。
②飛行前に航行中の航空機を確認した場合には飛行させないなどして
航空機と無人航空機の接近を事前に回避する。
③飛行中に航行中の航空機を確認した場合には無人航空機を地上に降下させること
その他適当な方法を講じる。
計器飛行方式及び有視界飛行方式
航空機が飛行する方式には、
「計器飛行方式(IFR:Instrumental Flight Rules)」と
「有視界飛行方式(VFR:Visual Flight Rules)」との2つがある。
高速で高高度を移動する旅客機は通常は計器飛行方式(IFR)で飛行する。
その他の航空機も有視界飛行方式(VFR)ができない気象状態となった場合には計器飛行方式(IFR)で飛行する。
有視界飛行方式(VFR)は、計器飛行方式(IFR)以外の飛行の方式とされ、航空機の操縦者の判断に基づき飛行する方式である。
小型機や回転翼航空機は有視界飛行方式(VFR)で飛行することが多い。
空港及びその周辺においては、有視界飛行方式で飛行する航空機も航空交通管制機関が与える指示等に従う必要がある。
航空機の飛行高度
150メートル以下での航空機の飛行は離着陸に引き続く場合が多いが、捜索又は救助を任務としている公的機関(警察・消防・防衛・海上保安庁)等の航空機や緊急医療用ヘリコプター及び低空での飛行の許可を受けた航空機(物資輸送・送電線巡視・薬剤散布)等は離着陸にかかわらず 150 メートル以下で飛行している場合がある。
無人航空機の操縦者は、航空機と接近及び衝突を避けるため、無人航空機の飛行経路及びその周辺の空域を注意深く監視し、飛行中に航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させるなどの適切な措置を取らなければならない。
航空機の操縦者による見張り義務
航空機の操縦者は、航空機の航行中は、飛行方式にかかわらず、視界の悪い気象状態にある場合を除き、他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをすることが義務付けられているが、航空機の飛行速度や無人航空機の大きさを考慮すると、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することは困難である。
無人航空機の操縦者は、これを理解したうえで、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域を注意深く監視し、飛行中の航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させるなどの適切な措置を取らなければならない。
出発前の航空情報の確認
航空機の機長は、出発前に運航に必要な準備が整っていることを確認することとされ、その一環として、国土交通大臣から提供される航空情報を確認することが義務付けられている。
航空機の空域の概要
無人航空機は、高度150メートル以上又は空港周辺の空域の飛行は原則禁止されているが、航空機の空域との分離を図ることにより、安全を確保することとしている。
このため、無人航空機がこれらの禁止空域を飛行する場合には、当該空域を管轄する航空交通管制機関と調整し支障の有無を確認したうえで飛行の許可を受ける必要があるが、そのうえで、
無人航空機の操縦者は、次に掲げる航空機の空域の特徴や注意点を十分に理解して慎重に飛行し、
航空交通管制機関等の指示等を遵守する必要がある。
a. 航空機の管制区域
国は、航空交通の安全及び秩序を確保するため、航空交通管制業務を実施する区域(管制区域)を設定している(管制区域以外の空域を非管制区域という)。
航空交通管制区は、地表又は水面から200メートル以上の高さの空域のうち国が指定した空域であり、計器飛行方式により飛行する航空機は航空交通管制機関と常時連絡を取り、飛行の方法等についての指示に従って飛行を行わなければならない。
また、航空交通管制圏は、航空機の離着陸が頻繁に実施される空港等及びその周辺の空域であり、全ての航空機が航空交通管制機関と連絡を取り、飛行の方法や離着陸の順序等の指示に従って飛行を行わなければならない。
b. 空港の制限表面の概要
航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておく必要があるため、航空法において、次のような制限表面を設定している。
ア) 全ての空港に設定するもの
- 進入表面:
進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面 - 水平表面:
空港周辺での旋回飛行等低空飛行の安全を確保するために必要な表面 - 転移表面:
進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要な表面
イ) 東京・成田・中部・関西国際空港及び政令空港において指定することができるもの
東京(羽田)・成田・中部・関西国際空港及び政令空港(釧路・函館・仙台・大阪国際・松山・福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇の各空港)
においては、航空機が頻繁に離着陸することから、上記ア)の制限表面に加え、次の制限表面も設定されている。
- 円錐表面:
大型化及び高速化により旋回半径が増大した航空機の空港周辺での旋回飛行等の安全を確保するために必要な表面 - 延長進入表面:
精密進入方式による航空機の最終直線進入の安全を確保するために必要な表面外側水平表面:航空機が最終直線進入を行うまでの経路の安全を確保するために必要な表面
模型航空機に対する規制
重量100グラム未満の模型航空機についても、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為は航空法により規制されている。
① 航空交通管制圏、航空交通情報圏、航空交通管制区内の特別管制空域等における模型航空機の飛行は禁止されている。
また、国土交通省が災害等の発生時に後述の緊急用務空域を設定した場合には、当該空域における飛行も禁止される。
//空港周辺の一部・緊急用務空域については、無人航空機に該当しないトイドローンなども飛行禁止
② ①の空域以外のうち、空港等の周辺、航空路内の空域(高度150メートル以上)、高度250メートル以上の空域において、模型航空機を飛行させる場合には、国土交通省への事前の届出が必要となる。
//①で禁止された箇所意外にも、航空機に影響の及ぼす可能性がある空域では、事前の届出が必要
まとめ
今回は航空法について学んでいきました。
・航空法での無人航空機の定義
・カテゴリⅠ〜Ⅲの違い
・カテゴリⅡA、カテゴリⅡBのどちらが危険で、どのような違いがあるか
・緊急用務空域はどのカテゴリで飛行できるか
・飛行中に航空機の飛行が確認された場合の対応は
・空港での飛行の際には何からの指示を聞く必要があるか
・転移表面とは何か
・重量100g未満の模型航空機でも飛行が禁止される場所は
振り返ると、あまり覚えられていない箇所がいくつかあると思います。
繰り返し復習しながら少しずつ覚えていきましょう
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